トライボロジー多機能試験機によるしゅう動部材の摩擦特性評価

トライボロジー多機能試験機とは?

輸送機器、産業機械等の動力伝達部には常に二物体間の接触によるしゅう動が起こり、少なからず摩擦によるエネルギーロスが生じています。これは摩耗を誘発する要因ともなり、摩擦摩耗抑制のためには潤滑技術が必要となります。これら、摩擦・摩耗・潤滑を取り扱う科学技術分野をトライボロジーと呼びますが、この分野に関して、機械・材料技術部材料物性グループでは、トライボロジー試験機等の試験設備を用いた試験サービスを行っています。

トライボロジー多機能試験機について

トライボロジー技術に関連したあらゆるニーズにお応えするため、トライボロジー多機能試験機(米 BRUKER社製 UMT TriboLab)を導入しています。

本装置は、ボール・ピンオンディスク試験、往復試験、ブロックオンリング試験、スクラッチ試験等、ASTM規格に準拠したトライボロジー試験が可能です。摩擦係数の測定や摩耗試験をはじめ、極圧性、潤滑剤の潤滑性評価、硬質薄膜の密着性評価等にご利用いただけます。次に得られる結果の一例を示します。

トライボロジー多機能試験機
写真1 トライボロジー多機能試験機
(米 BRUKER社製 UMT TriboLab)

流体潤滑領域における摩擦特性評価

摩擦を抑制する技術の一つとして注目されている、炭素系硬質被膜のDLC (Diamond-Like Carbon) 膜4種類について、同じ油で流体潤滑領域における摩擦特性を評価しました。

ブロックオンリング試験においては,自動車用エンジンの作動回転数近傍である1000rpm~5000rpmの高速回転領域においても精度よく摩擦係数が得られるため,DLC膜種によって異なる流体潤滑領域の摩擦特性を評価できます。

DLC膜種によって異なる摩擦係数と回転数の関係
図1 DLC膜種によって異なる摩擦係数と回転数の関係

連続荷重増加すべり試験によるDLC膜の密着力評価

回転しゅう動式ボールオンディスク試験法によって,繰り返ししゅう動しながら連続的に荷重を増加することで,DLC膜の密着・耐摩耗性を評価しました。

図の試験結果では,荷重が11kgに到達した付近で摩擦係数と音響波(AE;Acoustic Emission)信号の急上昇が確認されると同時に,DLC膜がはく離しました。このはく離荷重を相対的に比較することにより,膜の密着性を評価できます。

回転しゅう動式ボールオンディスク試験法(上図)と出力結果(下図)
図2 回転しゅう動式ボールオンディスク試験法(上図)と出力結果(下図)

ご利用を希望される方へ

このページのご紹介内容は、試験計測(依頼試験)でご利用いただけます。

料金表(単位欄にメーカー・型式を表記している場合:機器使用料金(特に記載がない限り単位は1時間あたり))
料金NO.項目単位(又はメーカー・型式)料金
E0211トライボ試験1試料1条件につき8,360円
E0212トライボ試験 1件増 1条件増すごとに3,850円

関連リンク

  1. 【★動画でご紹介!】トライボロジー多機能試験機によるしゅう動部材の摩擦特性評価(YouTube公式チャンネル)

ご活用いただける業種、分野等

今回のトライボロジー多機能試験機によるしゅう動部材の摩擦特性評価の事例については、
産業機械,自動車,自動車部品,その他の輸送機械,金属製品製造業,プラスチック製品製造業,化学工業,石油・石炭製品製造業 の皆様におすすめです。

以下のようなお悩み・課題の解決にご活用ください。
 ・低摩擦化したい
 ・摩擦を制御したい
 ・摩耗を抑制したい
 ・密着力の高い膜を選定したい
 ・目的に合った油を選定したい

【PRポイント】 上記装置のほか、単純形状の部品をそのまま固定して試験可能な摩擦試験機、ブロックオンリング型摩耗試験機等、様々な形状・寸法・試験条件等に対応可能な試験機を保有しております。ご利用にあたっては、まずお客様の試験目的をお伺いし、それに応じた試験機の選択を行い、試料寸法・試験条件を決定した後、試験実施となりますので、詳細は試験担当までお気軽にご相談ください。

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  • 担当:機械・材料技術部 材料物性グループ