コロイド技術によるサブミクロン周期構造の形成と特性の付与

サブミクロン周期構造の特徴

KISTEC単独で特許出願した、コロイド構造転写によるサブミクロン周期構造の形成技術と親水性・疎水性の付与について紹介します(特開2020-026137)。

まず、液体試薬を室温で混合して直径が250nmに揃った酸化ケイ素粒子を析出させ、その溶媒を蒸発させることによりバルク体を得ました(図1)。これは「人工オパール」とも呼ばれています。

作製した(a)コロイドと(b)人工オパールの外観
図1 作製した(a)コロイドと(b)人工オパールの外観

図2に示すように、プラスチック基材(ポリスチレン又はポリプロピレン)をホットプレートで190℃に加熱しながら人工オパールを接触させ、空冷後に人工オパールを部分的に剥離しました。

表面をSEMで観察すると、人工オパールの構造がプラスチックに転写され、直径約200 nmに大きさの揃った周期的に配列する穴(孔)が形成されていることが分かりました(図3)。

周期構造形成プロセスのイメージ図
図2 周期構造形成プロセスのイメージ図
SEM像
図3 SEM像; (a) 人工オパールを担持した表面、(b)人工オパールを剥離した表面

特性の評価 ~水接触角測定~

得られた試料の特徴づけとして、表面の濡れ性を水接触角測定により評価しました。人工オパールを剥離せずに担持させたままの表面では、親水性が高くポーラスであるため吸水されました(図4(a))一方、人工オパールを剥離した構造転写面では104°であり、基材の水接触角90°と比べて高い値を示しました(図4(b))。ポリプロピレン基材を用いた場合には試料を曲げることもできました(図5)。フレキシブルな親水・疎水パターニング材料としての利用が期待されます。

表面に滴下した水の様子
図4 表面に滴下した水の様子
ポリプロピレン基材を用いて作製した試料
図5 ポリプロピレン基材を用いて作製した試料

★本研究成果は、Chemistry Letters vol.48 (2019) 541-543に掲載されました。


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関連リンク

  1. [PDF]研究報告 2019(KISTEC Annual Research Report,2019)
  2. 論文情報:Formation of Hydrophilic and Hydrophobic Surfaces on Plastics by a Facile Method Using a Silica Opal

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