耐候性試験と動的粘弾性試験によるゴムの劣化評価

耐候性試験と動的粘弾性試験の特徴

ゴムは、タイヤ・パッキン・Oリングなどの工業製品から、ボール・風船・長靴・輪ゴムなどの日用品まで、様々なところで使われています。ゴムは重要部品として使われることが多く、劣化すると重大事故につながりかねません。そのため、ゴム製品を長期使用をするときには、実環境に近い状況での劣化試験、実使用条件に近い物性試験、製品性能に則した劣化評価を行って、十分な耐久性を有しているかを調べることが大変重要となります。

ゴムは様々な要因で劣化します。ここでは外界での使用を想定して紫外線と雨に対する抵抗性(耐候性)をゴム種ごとに調べた例を紹介します。ゴムの耐候性試験は光源の違いによって様々な種類がありますが、化学技術部材料化学グループで所有している装置は太陽光に近い波長分布を持つキセノン光源2槽独立型ウェザーメータです。

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  • 図1 耐候性試験機(2槽独立型スーパーキセノンウェザーメータ)の外観
  • 図1 耐候性試験機(2槽独立型スーパーキセノンウェザーメータ)の外観

安定した室内環境で劣化させることで再現性の高い耐候性評価が可能となります。φ960mmの大型槽(右槽)では、一度に多くの試料や大型の試験片が取付けられ、地表で受ける太陽光に近い300-400nmの波長で60W/m2の試験が出来ます(E1397)。φ580mmの標準槽(左槽)では、太陽光の約3倍となる180W/m^{2}のスーパーキセノン試験に対応できます(別途料金)。

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  • 図2 キセノンと太陽光の分光放射照度分布
  • 図2 キセノンと太陽光の分光放射照度分布

一般的に、ゴム製品の劣化は硬度や強度試験といった物理試験や赤外線を使った化学分析などで評価されますが、実際のゴム製品に求められる物性(制振性や形状回復性)に直結しないという問題があります。柔らかいゴムは大きく変形させたときに、個性が大きく現れます。私たちは、物性評価としてゴムに動的な歪γを与えて硬さと柔らかさを調べる粘弾性測定装置(図3)、実使用環境に則した劣化評価として大変形下で現れる非線形性粘弾性(図4)の定量化指標Θを用いました(研究1(リンク1)-2 (リンク2))。

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  • 図3 動的粘弾性測定装置の外観
  • 図3 動的粘弾性測定装置の外観
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  • 図4 線形粘弾性と非線形粘弾性の違い
  • 図4 線形粘弾性と非線形粘弾性の違い

私たちが開発した指標Θは、線形領域では2π、非線形領域では非線形の度合いに応じて2πよりも大きくなります。

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  • 図5 非線形粘弾性指標Θ
  • 図5 非線形粘弾性指標Θ

耐候性試験と動的粘弾性試験の特徴

ゴムの耐候性前後のΘを図6に示します。Θは、線形領域(最大歪γ0=30%)で大きく変化しています。これは、ゴムは大きく変形させることで劣化を敏感に検知できることを意味しています。γ0=50%におけるΘの耐候性試験前後差(ΔΘ)から、耐候性が天然ゴムは悪く、シリコンゴムは優れていることが分かります。
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  • 図6 耐候性試験前後におけるNBRの非線形粘弾性指標Θの変化
  • 図6 耐候性試験前後におけるNBRの非線形粘弾性指標Θの変化

  • 表1 Θ変化によるゴムの耐候性評価
  • 表1 Θ変化によるゴムの耐候性評価

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参考・関連リンク

今回の耐候性試験と動的粘弾性試験によるゴムの劣化評価の事例については、以下の関連ページもご参照ください。 [PDF] 研究報告 No.23/2017 [PDF] 研究報告 No.22/2016
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