超音波破砕による有用な生体物質の抽出分離
超音波破砕の特徴
超音波とは、音波でありながら1秒間に振動する回数が多くて人間の耳には聴こえない音のことを指します。超音波は反射しやすい性質をもつほか、音響エネルギーを伝送することが可能です。
そして強い超音波を液中に伝えると、局所的かつ瞬間的に大気圧の数百倍の圧力や数千℃の高熱を発生させることができます。
この現象は「キャビテーションと呼ばれており、その衝撃力を利用し、DNAの断片化、細胞・組織からのタンパク質等の抽出、ChIPアッセイにおけるクロマチンの断片化などを安全に行うことができます。
色素の迅速・選択的抽出に適した超音波処理条件の検討
2種類の異なる周波数、照射時間、出力、温度などの自動設定と連続処理ができる試作機(図1)をソニック・バイオ株式会社と試作し、それを用いて藻類から食用色素を抽出し、色素の抽出量、純度を測定しました。
超音波処理条件(試料容量、出力、周波数)に対する色素の抽出効率の依存性を調べた結果、抽出に要する時間は試料容量に比例して長くなる一方、出力に反比例して短くなりました。
そして、抽出された色素の純度は周波数に依存していました。28kHzの方が20kHzより夾雑物の混入が少なく、色素の純度が高いことが分かりました(図2)。
以上のことから、色素の迅速・選択的抽出に適した超音波処理条件を見出しました。
新製品の開発
この試験結果を活用して、ソニック・バイオ株式会社がいろいろな製品を開発しました(図3)。
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材料 バイオ、食品|技術分野 菌・ウイルス、食品機能|分析・試験・評価法 その他|事例分類 技術支援
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- 担当:化学技術部 バイオ技術グループ